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展望2023:金利は年前半に上昇圧力、インフレ弱まれば後半はフラット化
概要:2023年の円債市場は、年前半は金利上昇圧力がかかる見通しだ。欧米中銀が利上げを継続する一方、日銀も新総裁就任とともに正常化への思惑が強まるとみられている。ただ、正常化の時期や手法についての見方は市場で分かれており不透明感が強い。年後半に内外で物価が落ち着いてくれば、長めの金利に低下圧力がかかり、金利曲線はフラット化しそうだ。
[東京 2日 ロイター] - 2023年の円債市場は、年前半は金利上昇圧力がかかる見通しだ。欧米中銀が利上げを継続する一方、日銀も新総裁就任とともに正常化への思惑が強まるとみられている。ただ、正常化の時期や手法についての見方は市場で分かれており不透明感が強い。年後半に内外で物価が落ち着いてくれば、長めの金利に低下圧力がかかり、金利曲線はフラット化しそうだ。
2023年の円債市場は、年前半は金利上昇圧力がかかる見通しだ。欧米中銀が利上げを継続する一方、日銀も新総裁就任とともに正常化への思惑が強まるとみられている。東京都内で2021年7月撮影(2023年 ロイター/Peter Casey-USA TODAY Network)
市場関係者の見方は以下の通り。
●ブルフラット、日銀はYCC維持 許容変動幅も変わらず
<みずほ証券 チーフ債券ストラテジスト 丹治 倫敦氏>
当面は日銀の政策修正を織り込む形で、10年金利は0.50%を目指すとみている。ただ、金利急騰はないだろう。日銀は新総裁就任後も、マイナス金利は解除しても、YCCの枠組みは維持し、10年金利の許容変動幅もプラスマイナス0.5%が継続されると予想しているためだ。
2023年の国内物価は徐々に落ち着いてくる可能性が大きく、日銀としては2%物価上昇率を持続的に達成できるという目標が達成できていないことになる。また、12月の日銀の政策修正に政府側の意向が働いていたとしても、政府は資金調達コストが上昇する大幅な金利上昇は望まないだろう。
米国も5%程度まで利上げを継続し、そこで利上げを停止するとみている。実質金利がプラスになるためだ。その後、9─12月期には0.25%程度の利下げが視界に入ると予想している。
円金利も年初は中短期金利が上昇しそうだが、長めの金利は上がらず、金利曲線はブルフラット方向の見通しだ。
新発10年債利回りの予想レンジ:0.25%─0.50%
●正常化に向かう日銀、円金利は緩やかに上昇
<パインブリッジ・インベストメンツ 債券運用部長 松川 忠氏>
2023年の円金利は上昇方向と予想している。日銀は12月20日の政策修正をもって、正常化に踏み出したと考えている。ただ、日銀はオペの国債買い入れ額を増やすなど緩和方向の対応もしており、金利上昇スピードは緩やかになりそうだ。
日銀は4月に就任予定の新総裁の下、正常化に向かうだろう。マイナス金利解除やYCC(イールドカーブ・コントロール)政策の撤廃も視界に入る。日銀はイールドカーブをスティープ化させたいだろうから、オペの増減などで調整してくるだろう。
ただ、海外からはフラット化圧力が強まりそうだ。米国など経済が底堅く推移しており、年前半は利上げが続くだろう。日銀は、欧米中銀ほど利上げはできないとみられ、海外のように逆イールドになることはないだろうが、日本国債の金利曲線は緩やかなベアフラット化になると予想している。
ただ、それも日本の物価動向次第だ。2%程度に落ち着いてくれば、利上げをどんどんやる必要はないが、3-4%で高止まりすれば、強力な金融引き締めを行う必要が出てくる。
次期日銀総裁が誰になるか。支持率低迷が続いている岸田文雄政権の行方などが波乱要因となりそうだ。
新発10年債利回りの予想レンジ:0.3%─0.8%
●日銀は淡々と正常化に導く、レラティブバリューに注目して取引する1年
<アライアンス・バーンスタイン 日本債券ポートフォリオ・マネージャー 橋本 雄介氏>
日銀はYCCのバンド拡大や撤廃で10年ゾーンを柔軟化、また輪番(日銀の国債買入オペ)でコントロールしながら通常の量的緩和(QE)に回帰し政策正常化を進めるだろう。一方、マイナス金利についてはYCCよりも為替につながる要素が強く、特段テクニカルな限界もないので、ドル円が再び150円を超えていくような円安に行くなどしない限りは維持すると考える。
今の日銀の金融政策はかなり複雑なものだが、黒田東彦総裁の後任の有力候補として名前が挙がる人々はいずれも現状の金融政策に精通しており、そうした人が次期総裁になる限りは、YCCに関しては就任早々から淡々と正常化に取り組むのではないかと思う。
2023年の円債市場は、淡々とYCCの制約が外れていって、輪番の増減で日銀がコントロールしながら市場が正常化し、イールドカーブの歪みがなくなっていく年だと思う。日銀が正常化の第1歩を踏み出し、もちろん方向性としては投資家としてやりやすくはなるが、2023年の1年間で市場機能が回復するわけではなく、かなり時間がかかるだろう。レラティブバリュー(相対価値)に注目しながら取引していきたい。
新発10年債利回りの予想レンジ:0.3%─0.8%
●日銀動かずがメインシナリオ 長期金利は前半は0.5%近辺に張り付き 後半は下放れ
<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 債券ストラテジスト 鶴田 啓介氏>
2023年の長期金利の見通しは、日銀が年内に政策修正に動かないとの想定をメインシナリオとして、前半は政府・日銀の共同声明改定や日銀総裁人事にからめて政策修正の思惑が出やすく、海外勢を中心とした売り仕掛けにより日銀のYCCの許容変動幅上限の0.5%近辺に張り付く展開を予想する。
また年後半は、日銀が懸念する通り、米国の景気後退リスクや連邦準備理事会(FRB)の利上げ打ち止め観測の高まりを背景に米国金利が低下し、ほぼ同じタイミングで日本の物価の伸びに減速感が強まるような局面で、長期金利が0.5%から下放れる展開を予想する。
一方、リスクシナリオとしては日銀が政策修正に動くケースを想定する。内容としてはマイナス金利政策の解除やYCCの撤廃もあり得ると考えており、その場合、長期金利はスワップ金利が示唆するような0.8%近辺を試すとみる。
超長期金利については、既に金利はYCCの修正が既に織り込まれたような水準まで上昇しているほか、日銀が買い入れの量を強めていることによる需給ひっ迫感もある中で投資家の需要も集まりやすく、ここからの金利上昇余地は限定的とみている。
新発10年債利回りの予想レンジ:0.2%─0.5%
(伊賀大記、植竹知子 編集:石田仁志)
*12月27日までの情報に基づいています。
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